◆S46.11. 1 東京地裁 昭和45(行ウ)45 懲戒処分取消請求事件(4)◇
なう国民の権利は、立法その他国政の上で最大の尊重を必要とする国民の基本的人権で、しかもその中でも最も重要な権利の一つである。政治活動を行なう国民の権利の民主主義社会における重要性を考えれば、国家公務員の政治活動の制約の程度は、必要最小限度のものでなければならない。
国公法一〇二条一項および人事院規則一四−七が合憲であるためには、国家公務員の市民としての政治的権利の行使を不当に侵すことのないように適用されなければならない。そうであるとすれば、国公法一〇二条一項および人事院規則一四−七第五項四号、六項一三号を本件行為に適用はできないのである。
(1) 行政過程に全く関与せず、かつその業務内容が細目まで具体的に定められているため機械的労務を提供するに過ぎない非管理職にある現業公務員が、勤務時間外に、国の施設を利用することなく、かつ職務を利用しようとせず、もしくはその公正を害する意図なしに、政治活動を行なつた場合は、その弊害は皆無である。それ故、このような政治活動を規制することは、公共の福祉に対する明白かつ現実の危険がないのに表現の自由を侵害するものであつて、憲法二一条一項に違反する。
原告は、郵便配達員で、行政過程に全く関与することのない機械的労務を提供するに過ぎない非管理職の現業公務員であつて、本件行為は、職務時間外に、その職務または国の施設を利用することなく行なわれたものである。
したがつて、本件行為を規制し、懲戒処分を加えることは、憲法二一条一項に違反する。
(2) 本件行為は、人事院規則一四−七第五項四号に該当しない。
人事院規則一四−七第五項四号にいう「特定の内閣を支持し又はこれに反対すること。」の意味は、特定の内閣に対しそのとる政策のいかんにかかわらずおよそこれを支持しまたは反対するということである。したがつて、特定の内閣のとる特定の政策を支持しまたは反対することは、同号にいう政治的目的に該当しない。
本件文言は、佐藤内閣の政策のいかんにかかわらず、これに反対するものではなく、佐藤内閣がアメリカのベトナム侵略に加担する政策をとることに反対するにすぎない。
2 本件懲戒処分は、公務員の憲法擁護義務に違反する。


