◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(81)◇
は多言を要しないが、時間表に組み込まれた授業は授業時間終了後の準備にささえられなければなりたちえないものである。
(6) 教育に対する間接的影響
教員の争議行為は、父兄および地域住民の公教育に対する不信頼をいだかしめる。すなわち、父兄と教師の間に感情的摩擦を生じ、その間の調和が失われる。そうして、父兄と教師の調和が失われると、児童・生徒の校外指導など学校と地域社会との関係の調整と促進という面において、多大の支障をきたすに至るのである。
6 以上を要するに、教員は、憲法に基づく国家の理想実現のための使命を有し、国民の憲法上の権利を直接に保障すべき職務に従事するものであるから、その職務の公共性は、全司法判決が公共性のきわめて強いものとした裁判所職員の職務に比してまさりこそすれ、少なくともこれとの間になんらのけい庭の存しないことは明らかである。
しかも、教員の職務は、前記のように一に次代をになうべき児童・生徒の健全なる人格のとうや、形成にあり、その職務の停廃のもたらす国民生活上の支障は、それが人格の形成という精神的部門であるだけに、まつたく補正は不可能で、後日において回復しうべからざるものである。さらに、教員は、一方において、児童・生徒に対し、精神面で優位な立場にあり、他方、児童・生徒はもちろん、その父兄さえ、教員の言動については納得しえないものでさえも、それが批判を避ける実情にあるため、教員の言動が児童・生徒の脳裏に深い傷あとを残し、その人格形成をわい曲させるおそれは著しく大きい。教師に対して不信の念をいだきつつ成長した者の社会的行動をみれば、思い半ばにすぎるものがあろう。
このようにみてくると、公共性のきわめて強い公立小・中学校の教員の行なう争議行為は、直接に国民の義務教育を受ける憲法上の権利を侵害し、児童・生徒に対し教育上甚大な悪影響を与えるものであることを否定することができない。すなわち、その職務の停廃は、その職務上の使命の達成を妨げ、国民ないし地方住民の生活に重大な障害をもたらすものであるといわなければならない。
7 なお、原告らは、教員の職務の一時的停廃は、立法の沿革からも、また、国際的に確立された見解に照らしても、国民生活に


