◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(74)◇
実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」といい、その第一条(教育の目的)は、「教育は、人格の完成をめざし、………心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と規定している。すなわち、人格こそ人間の本体をなすものであり、人格が知力・技能力・体力などを用い、身体をあやつつて動く、それが行動である。人格がいかなる価値体系をもつかによつて、人間は創造的にも破壊的にも動き、また、善悪いずれをも志向し、行動するのである。したがつて、教育の本質は、単に知識を授け、技能力や体力を養うことのみにあるのではなくて、憲法の理想実現に寄与するに足りる人格の育成にある、といわなければならない。
およそ、人格は、個体が、環境との間に、絶え間なく相互作用を営みつつ、形成されて行くものであるが、その人格形成上もつとも重大な影響力をもつ人的環境はいうまでもなく直接教育の衝に当たる親と教師である。それゆえに、同法第二条は、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。」とし、教育に携わる者の片言隻句・一挙一動が、教育を受ける者の人格形成の上に重大な影響を及ぼし、ときにその生涯を支配する正または負の教育効果をもたらす力のあることを指摘しているのである。
2 憲法第二六条第一項は、「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定し、教育基本法第六条は、「法律に定める学校は、公の性質をもつもの」であり、その「学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。」としている。すなわち、叙上の教育の本質にかんがみるとき、教員は、国民の子弟をとうやして、憲法の理想実現に寄与するに足りる人格を育成する使命と職責を有するものといわなければならない。
3 憲法第二六条第二項および教育基本法第四条は、国民にその保護する子女に対する普通教育(九年)を受けさせる義務を負う旨を定め、学校教育法第二二条および第三九条は、小学校および中学校への就学を義務としている。原告らのような義務教育学校の教育に従事する教員の教育対象は、通常満六歳から一五歳に及ぶ年令層にあ


