◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(45)◇
質においては本質的差異は存在しない。
(A) すなわち、義務教育の段階は、たしかに、重要であろう。しかし、教育がいかに重要であると強調してみても、争議権の制限は、単なる職務の公共性の強弱ではなく、国民生活に重大な障害をもたらすか否かの点においてのみ判断されるべきなのであるから、学校教育であるという職務の特質にまつたく変りがないとすると、義務教育だからといつて、争議権を特別に扱わなければならないという合理的理由はないことになる。労調法も、ユネスコの「教師の地位に関する勧告」も、義務教育を特別に区別していないのは、そのためである。
(B) また、公立学校と私立学校とでは、学校の設立主体は異なるとはいえ、そこで行なわれる職務が学校教育であるということの本質に変りはなく、また、教育の内容は、ひとしく、学校教育法および同法施行規則などによつて規制されている。このように、職務の本質と内容とに変りがない以上、争議権の取扱いに差異を設けるべき理由は存在しない。さらに、その公共性の程度を比較しても、教育基本法第六条は、公立・私立を問わず、学校教育における職務の公共性をひとしく確認しているのであり、公共性の点においても差異は存しない。
(3) 公立義務教育諸学校の教員の職務と国民生活
(@) 以上により明らかになつたように、公立義務教育諸学校といえども、学校教育という職務の特質においては、私立あるいは他の段階の学校と基本的に変りはなく、公立なるがゆえ、私立なるがゆえの差異はまつたく存しないのであるから、争議権がとくにこの場合に限つて制限されねばならないとする理由は、何ひとつ存在しない。
さらに、義務教育諸学校の教育内容も、公立であると私立であるとを問わず、学校教育法およびその施行規則等の定めるところにより、まつたく同一内容によつて行なわれるべきものとされており、しかも、その内容は、他の段階の学校以上に詳細かつ具体的に定められているのであるから、義務教育諸学校においては、公立であると私立であるとを問わず、その争議行為による職務の一時的中断が父母・生徒・児童に及ぼすべき影響にはなんらの差異も存在しないのである。
(A) 被告は、公立学校に入学する者


