◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(42)◇
態とに照らし、争議行為による教育の停廃は国民生活に重大な障害をもたらすものではないから、教員の争議行為は制限すべきものではなく、まして禁止することが許されるものではない。
2 教員の争議行為に関する立法の沿革と国際的見解
(1) 旧労調法下における教員の争議権
旧労調法のもとにおいては、教員は現業公務員とされ、現業以外の司法・行政に従事する公務員の争議行為を禁止した同法第三八条の適用外とされていた。そして、また、教育事業は、同法第八条の公益事業にも指定されていなかつたから、同法第三七条による争議予告も義務づけられていなかつた。すなわち、教員の仕事は、その争議行為が国政の停廃をもたらすものでもなければ、公衆の日常生活に欠くことができないものでもないとされていたわけで、その争議行為はまつたく自由とされていた。
(2) 労働法規の全面再検討の時期における教員の争議権の扱い
昭和二六年の労働法規の全面再検討に際しては、労働省労政局案では、教員を含む現業公務員は、公共企業体の職員とともに、労働法令上、原則として民間労働者と同一の扱いとし、争議権を解放することが示され、また、労働関係法令審議会の公益委員案も、公共企業体職員と現業公務員の争議権を解放し、そのために、公務員法等関係法令の根本的な再検討をすべき旨を政府に要望していた。
すなわち、教員は、現業として、争議権を基本的に解放されるべきものと考えられていたのである。
(3) 労調法の扱い
旧労調法と現行の労調法とは、公益事業の定めにおいて変りがない。したがつて、教育は一貫して公益事業とされておらず、そのため、義務教育を含め、私立学校教職員の争議権は全面的に解放されている。
このように私立学校において争議権が解放されているとき、何ゆえ、公立学校の場合も職務の性質はまつたく同じであるのに、争議権の扱いにおいて本質的な差異を生ぜしめなければならないのか。それは、はたして合理的であろうか。
(4) ユネスコの「教師の地位に関する勧告」と教師の争議権
公立・私立、義務教育であるか否かを問うことなく、教師については、争議権を解放すべきであるとするのが、国際的に確立された見解


