◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(35)◇
なかんずく、争議権理論を採用していることは明らかであろう。国民生活に対する重大な障害(disturb critically the normal life of the nation)の有無が、ストライキ規制の指導理念となるのである。
この観点からみた場合、ストライキの規制は、多くの場合、ストライキの態様に対して加えられることになる。したがつて、たとえば、第八七号条約第九条が除外する軍隊・警察を除けば、その職務自体の性質からストライキが禁止されなければならない範囲は限定されてくるであろう。行政権力作用でもなく、その職務の停廃が国民生活に対する重大な障害を伴わない業務の分野では、それが公務であると公共企業体業務であるとを問わず、ストライキ禁止の対象からはずされるべきことは明らかである。そして、教職がこの禁止の対象からはずされる業務の範囲に入ることも、その職務の性質からみて明白である。国際連合教育科学文化機関(以下ユネスコという。)の「教師の地位に関する勧告」は、このような理論的前提に立つて、教師に対してストライキ権が保障されるべきことを明言したものにほかならない(第八四項)。この勧告は、教師の争議権を考えるについて、教育の重要性とその社会的役割(ユネスコ憲章参照)とを十分に踏まえ、そのうえで、教師のストライキ権の保障を明確にしているのであつて、教育の職務がその重要性にもかかわらず、ストライキ禁止の対象たる職務に含まれず、また、通常の形態のストライキであるかぎり、制限せられるべき対象とならないものであることを明らかにしたのである。
(B) ILOの地公法第三七条批判
このようにして、公務員に対するストライキの一律禁止の法制や制度は、ILOの中では完全にくずされている。そして、ここ二、三年のILOの動きをみると、再三の勧告にもかかわらず、労働者権侵害立法が放置されているわが国に対するILOの風当りは、きわめて強い。ここでは、そのうち、一九六八年の第五二回総会で承認されたILO条約勧告適用委員会・強制労働に関する専門家委員会の報告で、地公法第三七条が問題とされた部分を引用する。
「非常事態時におけるストライキ権の一時的停止を正当化しうる規準―すなわち


