◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(33)◇
右条約採択当時考えられていた考え方は徐々に克服され、これらの条約を基礎に争議権の保障を考えようとする努力が、結社の自由委員会等によつてなされてきている。
また、第二次世界大戦後の公務員の激増(公務員の仕事の分野の増加と合わせて)に伴い、一方また特別権力関係理論の戦後における破たんなどと相まつて、公務員に対する労働基本権も、他の民間の一般労働者と同じレベルで保障しなければ不合理であり、差別扱いとなるのではないかという考え方が、ILOの中で一般化してきている。とくに、一九六三年のILO公務員専門家会議の報告は、右のような考え方から、公務員に対する争議権問題を民間のそれと同じく考えるべきであり、基本的には公務員にもストライキ権は保障されるべきであるとし(具体的には、ILOが一九四八年に採択したストライキ権保障にかかわる第九二号勧告を公務員に対しても適用すべきであるとした。)、ストライキの制限原理についても、結社の自由委員会が作つてきた民間の一般労働者と同様の基準、すなわち、公務員をエツセンシヤル・サービスの一部門と考えるかどうかを基準として考えるべきだというようになつた。
ところで、ILOが考える、ストライキの制限が可能であるとされるエツセンシヤル・サービスとは、その業務の停廃が国民に重大な苦痛(Public hardship)をもたらし、国民生活全体に重大な障害を与える事業と考えられているから、公務員の場合、公務の停廃が右のようなパブリツク・ハードシツプを惹起するかどうかにより、ストライキの制限が可能かどうかということになる。
一九六五年七月一六日に出されたいわゆるドライヤー報告は、右の理論を踏まえて論を進めており、そこでは、公務員であるがゆえに当然にストライキ権が制限・否認されなければならないという論理は、まつたくみられない。そして、同報告は、右の観点から、わが国の公務員法制を批判した。すなわち、ドライヤー報告は、つぎのようにいう。まず、一般論として、「本委員会の考えでは、争議行為は、それが争議行為であるという理由によつて合法となり、または、違法となるものではない。その合法性または違法性は、争議行為の性格によるのである。」(第二、一三八項)、「真に必要


