◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(32)◇
の要件に従つていることが明らかである。
(4) ILOによる争議権保障と争議権規制の原理
(@) ILOの争議権思想
ILOの条約や勧告は、全世界の「すべての人民に十分に適用できること」を前提にして考えられているから、労働基本権の無制限保障をしているわが国の憲法水準からみると低いが、それでも、官公労働者に対するわが国の法制が、このILOの水準に比べて、さらに低いことは問題といわねばならない。
ところで、ILOの争議権思想の基本的な考え方は、ILOの結社の自由委員会の過去いくつかの先例に示されている。この先例によれば、「ストライキ権は、労働者およびその団体がかれらの経済的利益を防衛するためにもつ一般的権利のうちで中核的なもの」(同委員会第四七号事件、インド)であり、「争議権は、労働者が集団的な経済的・社会的な利益を擁護するうえで必要不可欠な権利」(同委員会第五〇号事件、トルコ)である。このような争議権思想が生み出された根源には、労働者の労働条件の十分な保障こそが現代社会における正義および平和の実現に欠くことができないものであるという認識がある(ILO憲章前文参照)。そして、このような認識があるために、ILOの争議権保障はかなり大幅である。すなわち、社会正義の実現は、労働者の経済的・社会的地位の向上によつてもたらされるから、争議権の行使は、この目的に反しない限り認められるべきであるとするのである。すでに一九五七年六月、ILOの総会は、ILO加盟国における反労働組合立法の廃止に関する決議を採択しているが、右決議は、ILO加盟国に対し、「労働者のストライキ権その他の組合権の有効かつ無制限の行使を保証する」法律の制定を要請している。
(A) 公務員に対する争議権制限原理の考え方
ILO条約の中には、直接に争議権を明記してこれを保障した条約は見当たらない。しかし、一九四八年の結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八七号。以下第八七号条約という。)。一九五七年の団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約(第九八号。以下第九八号条約という。)等で団結権を保障しており、ことに、第八七号条約の団結権の保障には争議権は含まれないという、


