◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(31)◇
を公益事業としていると理解してよい。そうとすれば、ここにいう公益事業の考え方は、さきに、われわれが争議権を制限しうる職務について述べた見解と、基本的に一致している。労調法第八条第二項はいまだに適用されたことがなく、結局、労調法の公益事業は第八条第一項に掲げる事業だけで、そのいずれをとつてみても、国民の日常生活上固有・不可欠の業務であり、争議行為という一時的な職務の停廃によつても、ただちに著しい苦痛を発生しうるものである。
ロ 同法第三六条
同条は、安全保持を危くする争議行為を禁止しているが、同条によつて禁止される争議行為は、直接人命に対し危害を及ぼす行為に限られるのであり、しかも、同条は、争議行為一般を禁止しているのではなく、その手段を規制している規定であることに留意する必要がある。
(C) 船員法
船員という海上に働く特殊・危険な業務についても、労調法の公益事業としての規制のほか、船員法第三〇条によつて、「船舶が外国の港にあるとき、又はその争議行為に因り人命若しくは船舶に危険が及ぶようなとき」には争議行為が禁止される。人命の安全と船舶の安全(これは、ひいては、人命の安全につながるともいえる。)とが保護法益である。
(D) スト規制法
スト規制法は、電気事業における電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接障害を生ぜしめる争議行為と、石炭鉱業における保安業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失もしくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃または鉱害を生ずるような争議行為とを禁止する。すなわち、同法は、電気・石炭両産業の争議行為のうち、電気については、公益事業の争議行為の中でも、とくに電気の供給停止の争議行為が国民生活に著しい苦痛をもたらすことに着目し、石炭については、保安業務放棄に伴う人命に危険を生ぜしめ、あるいは、労働者の復帰すべき職場を失わせるような争議行為に着目し、かかる争議行為を禁止したものである。
以上のように、わが国の実定法の定める争議権制限の対象となる職務(および、特定の職務のうちの特定の争議行為)は、いずれも、基本的には、原告らが主張するような争議権制限


