◆S46.10.15 東京地裁 昭和33(行)103 懲戒処分取消請求事件(18)◇
地方公共団体に対抗しえないのであるが、このことは、既述のように、争議行為を行なつた原告らが任命権者たる被告に対し当該争議行為を行なつたことを理由として被告から受けた本件懲戒処分の取消しを求める権利を有しないことを意味する。換言すれば、原告らが被告に対し本件懲戒処分の取消しを請求しうべき、いわゆる実体法上の形成権ないし形成要件の存在しないことを意味するのである。そして、形成訴訟である抗告訴訟において、その訴訟物たる行政処分の取消しを求める、いわゆる形成権ないし形成要件を欠く場合には、請求棄却の本案判決がなされるべきであるから、本件においても、原告らが本件争議行為をした事実が認められる以上、その余の点についてなんらの審理判断をするまでもなく、ただちに請求棄却の判決がなされるべきである。
(抗弁に対する認否と反論)
A 本案前の抗弁に対し、
一 本案前の抗弁一(特別権力関係内部の問題であるから出訴できない)に対し
(一) 特別権力関係論について
公務員の勤務関係が特別権力関係の典型とされてきたのが、戦前からのわが国公法学における伝統的な考え方であつた。しかし、この伝統は、戦後、ことにこの一〇年来、大きく変容しつつある。すでに今日では以上のような伝統的な内容での特別権力関係説は、もはや存しないといつても過言ではないであろう。憲法によつて、基本的人権の保障と法治主義の原理が確立されるとともに、当然、特別権力関係説は憲法の原理と矛盾するものとして、否定されなければならなかつた。ところが、その後の公法学の発展は、さらに、それに加えて、特別権力関係説の成立の理論的根拠それ自体を否定するに至つた。かつて特別権力関係の典型とされた公務員の勤務関係が、かえつて、特別権力関係からはずされるものの典型とされるようになつたのである。特別権力関係を否定する立場に立てばもちろんのこと、これを肯定する立場に立つても、公務員の勤務関係については、現行実定法に関する限り、特別権力関係の観念を容れる余地はほとんど存在しないのである。したがつて、被告の主張は、その前提からして誤つている。
(二) 特別権力関係と抗告訴訟
1 地方公務員の懲戒処分について、裁判所に出訴す


